オーストラリアのネイル文化、日本との違い

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Australia × Nail Industry

オーストラリアの
ネイル文化
日本との違い

Shellac、SNS、そしてBIAB——オーストラリアのネイル文化の変化とは。

Beauty-Jet Vol.02 海外サロンで、夢を動かせ。

「オーストラリアのネイルって日本と何が違うの?」「BIABって最近よく聞くけど何?」—— これからオーストラリアでネイリストとして働く方には、必ず目を通してほしい。現地で戸惑わないための“ショートカット”になるはずです。 ここ数年で、オーストラリアのネイル文化は大きく変化してきました。日本のように“丁寧なケア”や“繊細な仕上がり”を重視するスタイルは高く評価される一方で、現地ではそれに加えて求められる要素もあります。 そしてその文化の違いを、私は”お客様”として体験したことがきっかけで深く知ることになりました。

Chapter 01オーストラリアで受けたネイルカルチャーショック

私がオーストラリアに来たのは2018年、ちょうどコロナが広がる少し前のことでした。 当時、モールに入っているいわゆるファストネイルサロンに行ったのですが、 「Gel(ジェル)」と言ってもなかなか伝わらず、施術の説明をすると “Oh, Shellac?” と言われ、そのまま席に案内されました。

そこで待っていたのは、日本で受けてきたネイルの常識とはまったく違う施術でした。 日本からつけてきたジェルネイルは、ソークオフで優しくリムーブするのではなく、 アクリルで使うハーフチップのシャープな先端を自爪とジェルの隙間に無理やりねじ込み、 そのまま剥がすようにオフされたのです。

💥 これが私の最初のカルチャーショックでした
  • Gel/ジェルという言葉が通じず、Shellac/シェラックとして認識された
  • オフがソークオフではなく、力任せに剥がす方法だった
  • 施術時間は約10分、料金はAU$27(¥2,500/当時)

幸い出血はしなかったものの、爪は見事にボロボロになり、 強度もほとんど感じない“シェラック”があっという間に仕上げられました。 しかも、そのネイルは2日後には折れてボロボロになってしまったのです。 本来ネイルに求めていたワクワクや癒しとは程遠く、その時間はむしろ不安と緊張の連続でした。 ネイルが大好きで、ネイルをしない生活は考えられなかった私にとって、 この経験はかなり大きな衝撃でした。 そしてこの出来事をきっかけに、私はネイリストの勉強を始めました。

Chapter 02その体験は、決して珍しいものではなかった

サロンを始めて4年目になりますが、あのときの私の体験は決して特別なものではなかったと、今ではよくわかります。 実際に多くのお客様から、 「同じような経験をした」「もっとひどいネイルサロンに当たったことがある」 という話を何度も聞いてきました。私たちからしたら当然のサービスも、私たちのお客様にとっては特別で、”痛くない” “滲みない” と驚かれることもあるくらいです。

特に2018年頃のオーストラリアでは、ネイルメニューの中心は Acrylic/アクリル、Shellac/シェラック、SNS/エスエヌエスでした。 今のように“ジェルネイル”という概念が広く一般的だったわけではなく、 日本のジェル文化はまだほとんど理解されていなかった印象があります。

当時の主流メニュー

Acrylic(アクリル)、Shellac(シェラック)、SNS(ディップパウダー)。 日本では当たり前の“ジェルで丁寧にフォルムを作る”という感覚は、 まだオーストラリア全体では一般的ではありませんでした。

Chapter 03Shellac、SNS、そして“ジェル文化”の前のオーストラリア

オーストラリアでは長い間、早い・強度がある・わかりやすいメニューが支持されてきました。 Shellacは「ジェルのような艶のあるネイル」として広く浸透し、 SNS(ディッピングパウダー)は強度があり、比較的スピーディーに提供できるメニューとして人気を集めています。

「爪が薄い・弱いから、強度のあるアクリルやSNSを付ける」という考え方が一般的で、その結果として爪を痛めてしまい、 それをアクリルやSNS、シェラック自体のせいだと思ってしまうケースも少なくありません。

知識不足から起こるこの悪循環は根深く、 アクリルの方が素材としては強度があるにも関わらず、ジェルの方が“持ちが良い”と感じる理由を理解してもらうことは、決して簡単ではありません。

つまり、当時の主流は日本のような「爪の状態を見ながら丁寧にベースを作るネイル」ではなく、 短時間で仕上がり、一定の見た目と強度が出せる施術だったのです。 だからこそ、日本から来た人にとってはカルチャーショックになることも少なくありませんでした。

🇦🇺 オーストラリアで主流だったネイルの特徴
  • Shellac:薄づきでスピーディー、ポリッシュ感覚に近いメニュー
  • SNS:ディップパウダーで強度重視、時短ニーズにも合いやすい
  • Acrylic:長さ出しや強度を求めるお客様に長く支持されてきた

Chapter 04BIABがトレンドになった理由

そんな流れの中で、急速に広がっていったのがBIABという言葉です。 BIAB(Builder In A Bottle)は、単なる新しいメニュー名というより、 オーストラリアで“ジェル文化”が一気に浸透していくきっかけのひとつになった存在だと感じています。

それまでの施術で爪にダメージを受けたお客様たちに対して、 「より爪に優しい」「長持ちする」「自爪を守りながら続けられる」 という打ち出し方がとても強く響き、BIABは急速にトレンドとして広がっていきました。

今では“ジェル”より“BIAB”の方が通じることも

現地では “Do you do BIAB?” と聞かれることも多く、 builder gel や gel という一般名詞以上に、 BIAB(ビーアイエービー/バイアブ) という言葉自体がひとつのジャンルとして浸透していると感じます。

私の個人的な見解ですが、日本では基本的にソフトジェルを使い、美しく強いフォルムを作ることを大切にしながら、お客様自身も比較的丁寧に手元を扱う文化があるように感じます。

一方でオーストラリアでは、そうした「手を大事に扱う」という感覚が日本ほど前提ではないことも多く、街中でも爪を噛む方や手遊びをする方を見かけることは珍しくありません。

そのため、ネイルを長く維持するために手元を丁寧に扱うというよりも、「できるだけ強く、持ちのいいネイルをする」という考え方が重視される傾向があります。 また、ホームケアを継続するというよりも、プロフェッショナルに任せる文化が強いため、日本のように日常のケアの大切さを伝えること自体が難しい場面もあります。

だからこそ、日本では補強や長さ出しのイメージが強いビルダージェルが、 オーストラリアではより高い強度と柔軟性を持つ日常使い向けのメニューとして支持されるようになったのではないかと思います。

Chapter 05日本のネイルとオーストラリアのネイル、何が違う?

大きく言うと、重視されるポイントが少し違います。

✈ オーストラリアで重視されやすいこと
  • 強度、時短、通いやすさ、わかりやすいメニュー設計
  • 日常生活に耐えられるタフさと実用性
  • Shellac、SNS、BIABなどメニュー名そのものの認知度

もちろん、これはどちらが良い悪いという話ではありません。 文化やライフスタイル、お客様がネイルに求めるものが違うだけです。 ただ、日本のネイリストが海外で評価される理由のひとつは、 “そこまで丁寧にやってくれるの?”と思われるほどの細やかさにあると感じます。

Chapter 06“ファストネイル”が重宝される理由

日本でも今は“ファストネイル”という言葉をよく聞きますが、 これは海外のウォークイン型サロンからきており、とくにオーストラリアのライフスタイルともとても相性がいいと感じています。 私たちのような丁寧な施術を大切にするサロンが重宝される一方で、 今でもモール内のファストサロンは安定した人気があります。

その理由のひとつが、オーストラリアでは親が子どもの学校送迎をするのが当たり前で、 日中の時間の使い方がとても限られている方が多いことです。 予約時間に厳密にコミットしづらいお母さんや、 仕事のランチブレーク、出勤前、退勤後の短い時間でネイルを済ませたい方にとって、 早く終わるサロンはとても便利な存在なのです。

⏱ オーストラリアで“早さ”が求められる理由
  • 送迎や家事の合間に来店するお客様が多い
  • 仕事の休憩時間や前後に済ませたいニーズがある
  • 長時間サロンに滞在するより、短時間で終えたい人が多い

そのため、私たちのサロンでも1人のお客様にかける時間は、 基本的に1時間〜1時間半がマックスです。 丁寧さとクオリティを守りながらも、現地のライフスタイルに合わせたスピード感はとても大切だと感じています。

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